課題:チャットボットは業務フローを担えない
本事例の導入組織は、台湾から出発し、複数の国の市場へ急速に展開するAIスタートアップです。動きが速く、拠点が分散し、日常の協働はすべてLark上で行われています。規模の拡大とともに、次の3つの課題が明確になりました。
- 会議記録が人手頼み。 決定事項やタスクが会話ログに散在し、重要事項を追跡する仕組みがありませんでした。
- 同じ問い合わせの繰り返し。 製品仕様、法務条項、見積り方法など、同じ質問に毎週誰かが対応していました。
- コンテンツ制作の非効率。 対外資料1件の作成に半日を要し、体裁の統一も困難でした。
市販のAIチャットボットでは、これらの課題を解決できません。質問には答えられても、業務フローを担うことはできないためです。会議の逐語録を自ら取得せず、タスクをタスク管理システムに書き込まず、成果物を会話へ直接届けることもありません。
ソリューション:業務フローに入り込むAIエージェント
本プロジェクトは、エージェントアーキテクチャを基盤とし、Larkのオープンプラットフォーム(メッセージ、タスク、ドキュメント、多次元テーブル、インタラクティブカード)と深く連携します。すべてのモデル呼び出しは ATP Petrichor を通じて統合的に接続・管理されます。
1. 会議の自動化。 エージェントは会議の逐語録を自動で巡回し、新しい会議を検知すると、構造化された要約ドキュメント(要約・論点・決定事項・リスク)を生成します。タスクはLarkのネイティブなタスク管理システムに直接書き込まれ、担当者・期限・リマインドを一度に設定します。決定事項は追跡可能な形で保存されます。配信はプライバシールーティングに従い、会議情報は関係するメンバーにのみ届き、各メンバーの空間は相互に分離されます。
2. タスクガバナンス。 会話上で単一の指示によりタスクを作成すると、そのままネイティブなタスクとリマインドとして登録され、期限前に自動で追跡されます。
3. 企業ナレッジベース。 製品Q&A、法務テンプレート、営業ツールを一元的に格納し、自動で同期します。グループ内でその場で質問に答え、回答には必ず出典を付与します。
4. コンテンツ制作ライン。 会話で要件を伝えると、エージェントが企業のブランドアイデンティティに沿った資料、製品ワンページャー、ソーシャル素材を生成します。ベクターテキストのPDFを会話へ直接届けます。
5. 実行前の確認プロセス。 高コストのタスクは、実行前にインタラクティブカードで方向性と想定時間を報告し、確認後に実行します。実行に失敗した場合は自ら報告し、進捗は全過程を通じて可視化されます。
本事例におけるATPの役割
同チームは、ATPの一気通貫のToken APIサービスも採用しています。単一の接続点でタスクの要件に応じてモデルを自在に切り替えられ、エージェントの各呼び出しはすべてプラットフォーム上で実行されます。
| ガバナンスの観点 | 具体的な方法 |
|---|---|
| マルチモデルルーティング | 定常タスクにはコスト効率の高いモデルを用い、高度なタスクは自動でアップグレード。主要モデルの異常時には自動でバックアップに切り替え |
| コスト統制 | スケジュール実行タスクと会話タスクを段階的に課金し、予算上限を事前に設定。月末の照合で初めて超過に気づく事態を防止 |
| 全経路のログ保全 | 呼び出しごとにモデル・利用量・出所を記録。利用量の異常を当日中に特定し、当日中に修正 |
成果
- 会議終了後、要約ドキュメントとタスクが自動で生成され、人手による整理は不要になりました。
- 繰り返しの問い合わせはナレッジベースが引き受け、回答は一貫し、出典も明示されます。
- 資料やマーケティング素材は「半日」から「会話上での単一の指示」へと短縮され、ブランドの体裁も完全に統一されました。
- モデルコストは可視化され、制御可能です。ログ保全により、スケジュール実行タスクの異常な消費を当日中に特定し、モデルの段階設定を調整して即座に修正した実績があります。